資本主義社会の崩壊と音楽ビジネス(3)

柄にもなくこんなテーマで数日考えたりしてみたので、自分でも混乱してしまい、そのあげく「資本主義社会が崩壊する。」→「資本主義に乗っかってきた音楽ビジネスはどうなっちゃうんだろう?」→「オレ自身のことを考えてみるとまさに典型的な資本主義的音楽…

資本主義社会の崩壊と音楽ビジネス(2)

性懲りもなく昨日の続きを、、。「ポピュラー音楽の世紀」(中村とうよう著。岩村新書)という本を最近読み直した。 これは20世紀を「ポピュラー音楽の時代」と定義して、主要な国(音楽史的に)で起こった音楽の動きをまとめた読み物だ。クラシックなどは絵…

資本主義社会の崩壊と音楽ビジネス

そういうタイトルをつけたくなっただけで、そんなたいした内容じゃないけど、、。 リーマン・ブラザーズの経営破綻が大々的に報じられていた頃、スティグリッツという著名な経済学者がこれは市場主義社会にとって「ベルリンの壁崩壊」に匹敵するような象徴的…

ari「アカシア」

ボズレコード第1号アーティストのariさん。現在はレーベルを離れて活動をしているが、新しいアルバムを作ったとのことでさっそく聴かせてもらった。 今回はどこのレーベルにも所属せず、完全に「自前で」アルバムを完成させた、ということにまず驚かされた…

馬飼野康二

最近の日本のヒット曲で「おおっ」と思ったタイトルは「真夜中のシャドーボーイ」(Hey!Say!JUMP)だ。80年代によくあった洋楽の日本語タイトルを思い出させる。なんだか意味がよくわかんなくても気にならない、そんな「ノリ勝負」な語感に久々にぐっときた…

ペットサウンズ・レコード

昨日は武蔵小山のペットサウンズ・レコードに初めて行った。 僕は、昔からビーチボーイズや古いアメリカのポップスも好んで良く聴いていて、そういった専門誌にもよく目を通していたのでお店の存在も店長の森さんの名前もずいぶん前から知っていたのだが、武…

「ヒットこそすべて〜オールアバウトミュージックビジネス」朝妻一郎

9年ほど前、音楽出版社(ソニーミュージックパブリッシング」に勤務し始めたとき、「なぜ音楽出版と呼ぶかというと、もともとこのビジネスが楽譜を印刷して売るところから来ているのだ」と説明されて、「へ〜」と思ったが、当然リアリティはなかった。僕が…

著作権という魔物

「著作権という魔物」(岩戸佐智夫著 アスキー新書)。タイトルのインパクトもあって、読んでみた。それまで、著作権に深い知識を持っていなかった著者が、各方面の関係者、有識者に取材を重ねることで「ネット時代の著作権」に関して考えてゆく、といった内…

ビリージョエル「ストレンジャー」(30周年記念盤)

前に読んだ小西康晴さんの「ぼくは散歩と雑学が好きだった」のなかで、(音楽の)初期衝動はとっくに忘れてしまった、はじめから僕は音楽を仕事としてやっている、という主旨のことが書かれていて、頭に残っている。あえてそういうことを言うってことは、100…

沢田研二

昨晩、テレビを見ているとうちの奥さんが「ブ、ブタが歌ってる、、、。」 テレビで歌っていたのは、沢田研二。番組はNHKの「songs」 う〜ん、確かに、、、、でもなあ、、。 僕より一回り下の奥さんは、ジュリーの最盛期をまったく知らないと言う。 彼の最盛…

コミュニケーション

僕もまた北京五輪での星野監督の采配に無茶苦茶腹が立ったひとりだが、日本人からとても好かれている人だからまたあんまり非難はされないんだろうなあ、と思っていたら、TVはともかく一般の人たちのバッシングが予想以上に激しくてちょっと驚いた。この全国…

音楽(6)

僕が関わってるような大衆音楽(ポピュラー・ミュージック)というのは、流行(はやり)ものという宿命みたいなものがあって、それが芸術的な音楽との違いでもあるのだろう。もちろん、大衆音楽にも、何人もの偉大な才能による芸術としても評価されている作…

音楽(5)

今から6年以上前、僕がレコード会社をやめた頃はまだまだCDは売れていたが、何か地殻変動みたいなものは起こっていた。当時は(今もだけど)どんなジャンルのどんな個性のアーティストも、同じサイズの成功を求められていて(チャート何位だとかミリオンだ…

筒美京平

先日TVで黒人演歌歌手のジェロが堺正章の「さらば恋人」をカヴァーしているのを聴きながら、「ますますわけのわからない時代になっていくなあ。」とため息ついていたのだが、あらためて聴くといい曲だった。この曲も筒美京平なのか、と思って、10年以上前に…

音楽(4)

じゃあ、これからの音楽業界は、、。ミュージシャンはどうなる?レコード会社は?音楽メディアは?といろいろと考えてしまうけれど、はっきりした新しいビジネス・モデルができていない今、当然、僕にもわからない。わかっていれば、なにかアクション起こし…

音楽(3)

少し前に出た茂木健一郎の「すべては音楽から生まれる」は、てっきり「音楽はこんなに脳にいいんだよ」という本かと思って読んでみたら、彼自身の強い音楽体験を語った「音楽へのラブレター」みたいなものだった。そういえば、それよりもうちょっと前に出た…

音楽(2)

「eco」というのも、個人的になぜか最初は全面的に同意できる感じじゃなくて(ただ僕があまのじゃくだからかもしれないが)、仮にオレがやってもやらなくてもそんなに影響はないだろう、みたいな「ありがちな傍観者」を気取ってたわけだけど、状況はもう一刻…

音楽(1)

最近、いろんなレコード・メーカーの知り合いを訪ねて話す機会が多くて、音楽業界は僕の予想以上にシビアな状況にあるということが伝わってきた。 ミュージック・マガジンの最新号でも「CDはどこへ行く」というのをメイン特集に組んでいて、「CDが売れない」…

エミリー・ウングワレー(2)

再び、エミリー・ウングワレー展へ。それまで存在も知らなかった、アポリジニのおばあさんの作品に何故そんなに惹かれてしまったのか、自分でもきっちり説明できないところもあるのだが。 2度目ともなると、細部をチェックできるもので、ある作品の所有者が…

エミリー・ウングワレー

昨日はエミリー・ウングワレー展を見に、国立新美術館へ。美術展はめったに行かないのだが、最近どうも精神的スランプ気味だったのでうちの奥さんが見に行くように勧めてくれたのだ。 考えてみると、僕がふだん接している「作品」は、活字だったり、自分の好…

川合辰弥「ため息」

川合辰弥の未発表曲「ため息」。僕が初めて彼を見たとき歌っていたのがこの曲だった。ボズレコードに呼ぶことになったきっかけかも。これは今年の5月15日、代々木ブーガルでのライヴ。

「ぼくは散歩と雑学が好きだった。」小西康陽

小西さんには一度だけお会いしたことがある。かなり昔だから、ご本人はおぼえていないとは思うが。 ピチカートファイヴの「月面軟着陸」のときだから、1990年。もう、18年もたっている。僕がソニーの仙台営業所に勤務していたときに、仙台にアルバムのプロモ…

雨にぬれても

人生で最も好きな曲は?と聴かれて即答できる人は少ないだろう。すぐ答えられる人は案外、普段音楽をあまり聴かなくて、カラオケで歌う曲は決まっている年配の人か、逆に音楽に夢中になりはじめたばかりのローティーンの子かもしれない。 僕はけっこう音楽オ…

「ペット・サウンズ」ジム・フジーリ

ジム・フジーリ著「ペット・サウンズ」(村上春樹訳)は、ビーチボーイズやブライアン・ウィルソンの伝記のたぐいを読んでいるファンには、とりたてて驚くようなエピソードが出てくる訳ではない。まして、「ペット・サウンズ」を聴いたことのない人をぐいぐ…

グレン・グールド

「知るを楽しむ」というテレビ番組で今月はグレン・グールドの特集をやっていた。僕はクラシックはあんまり、というかほとんど知識はないのだが、グールドの「ゴールドベルク変奏曲」のCDはずいぶん前に買って聴いていた。 今から22年前(!)、僕はソニーミ…

デジタル音楽の行方

CDが売れなくなった、とか、インターネットによって音楽ビジネスはどう変わっていくのか、など、これはもう音楽業界人じゃない人でも普通に口にする話題だ。音楽に関わっている人間なら誰もが想像したり、また不安を覚えたりしない人はいないだろう。そして…

クライヴ・デイヴィス、ルー・アドラー、ペギー・リプトン

仕事柄、歴史的な”音楽業界人”には興味があるのだが、アーティストと違って、書物は少ない。興味が持つ人が限られているから当然のことだけど。 さて、僕の考える音楽業界史上NO.1の人物と言えば、実績、実力、運、あらゆる面での総合判断だけど、やっぱりク…

デヴィッド・ヨハンセン

昨日、ふらっと立ち寄ったCD屋でデヴィッド・ヨハンセンのファースト・ソロ・アルバムが再発されていたのを知り、さっそく購入した。 デヴィッド・ヨハンセンは伝説のパンク・グループ、ニューヨーク・ドールズのヴォーカル/ソングライターとして有名だが、…

尾崎豊、ルイード・ライヴ

4月25日は尾崎豊が亡くなった日とのことで、もう16年たつらしい。僕は、まだ彼がデビュー間もない頃、新宿ルイードでの2度目のライヴを見ていて、今も強く記憶に残っている。 大学2年のときだったと思うが、当時僕はブルース・スプリングスティーンが好…

いかした愛の放浪者

中三の頃、理由は忘れてしまったが、無性に学校に行きたくない時期があった。幸か不幸か「引きこもる」という概念を思いつかなかったので、欠席することはなかったが、けっこう苦痛だった。そんな頃、突然ラジオで聴いて夢中になったのがニック・ロウ「Cruel…