デヴィッド・ヨハンセン

vozrecords2008-05-03

 昨日、ふらっと立ち寄ったCD屋でデヴィッド・ヨハンセンのファースト・ソロ・アルバムが再発されていたのを知り、さっそく購入した。
デヴィッド・ヨハンセンは伝説のパンク・グループ、ニューヨーク・ドールズのヴォーカル/ソングライターとして有名だが、僕を知る人はご存知の通り、パンクから最も遠い人柄だし、最も遠い音楽性のアーティストをずっと手がけているわけで、実際ニューヨーク・ドールズのファンであった時期は全くない。
 じゃあ、なぜ興味があったかと言うと、僕が洋楽を聴き始めた頃好きになったビリージョエルやブルース・スプリングスティーン同様、ソロアーティストとしての彼は当時「ニューヨークのロック・ヒーロー」というイメージで宣伝されていたからだ。実際、僕が最初に認知した彼のセカンド・ソロアルバム「In Style」のジャケは、パンクどころか、シックなファッションモデルみたいな写真を使われていた。当時のこのLPの日本盤の帯に書かれていた宣伝文句は

「好きだぜ、ビッグシティ。お前の名はニューヨーク!ついにその時が来た。ストリートの帝王ヨハンセンのエナジーが、大都会をスパークする,,」

今どきこれほど”苦笑”がフィットするフレーズはないが、当時は正直、本気で言っていた訳だし、本気でニューヨークとか、大都会とか、摩天楼とかがカッコいい言葉だったのだ。そして、当時ソニーは彼やスプリングスティーン、エディー・マネー、スティーヴ・フォーバート、エリオット・マーフィー、ジュールズ・シアー&ポーラーベアーズといったアーティストを「ストリート・ロッカー」としてキャンペーンしていて、田舎の中学生だった僕はそれを真に受けて、かっこいいと思っていた。
 特にデヴィッド・ヨハンセンは「ストリートロック」のイメージづけキャンペーンの筆頭的存在で、実際彼のファースト・ソロ「David Johansen」の邦題は「ニューヨーク・ロックンローラー」、セカンド「In Style」は「イン・スタイル〜ニューヨーク・ストリート」、サード『 Here Comes The Night」は「ニューヨーク・コネクション」というふうに、勝手に「ニューヨーク3部作」にされてしまっている。それにしても、「ニューヨーク・コネクション」とは、最近歌手活動を再開して話題の水谷豊の当時の大ヒット曲「カリフォルニア・コネクション」をまんま持ってきた感じで、少し切なくすらなってくる。
 話は戻して、僕にとってデヴィッド・ヨハンセンの魅力は、あきらかにミック・ジャガーを目指しているのだが、彼のような頭の良さと言うかしたたかさがなくて、全体から浮かび上がってくる不器用さ加減にあって、僕には感じ入るものがある。純粋なロックンロール狂の演奏する、純度の高いロックンロールなんだと思う。そういう彼の無骨さが一番出ているのが、このファースト・ソロだ。日本でも是非当時のLPや帯を再現した紙ジャケで「ニューヨーク3部作」再発してほしいなあ。