ari「アカシア」

vozrecords2008-12-10

 ボズレコード第1号アーティストのariさん。現在はレーベルを離れて活動をしているが、新しいアルバムを作ったとのことでさっそく聴かせてもらった。
 今回はどこのレーベルにも所属せず、完全に「自前で」アルバムを完成させた、ということにまず驚かされた。しかも、ホームレコーディングではなく、きちんと外のスタジオを使い、タイトル曲「アカシア」では生の弦まで入れている。
 ここ数年自分のスタイルを模索しながら、自力でがんばっている様子が伺えたのだが、その結実が今回のアルバムなのだろう。本人は限られた時間の中で慌ててやった部分もあると言っていたが、いやいや丁寧にこだわって作られていて、いい意味でアーティストの手作りの感触というか「熱」が伝わってきた。
自主制作っていうのは本来こういうもののはずだったんだよなあ、と教えてもらった気がする。今後、アーティストを目指す人にとって、完全に自前で一枚作品を作ることはとても大切になると僕は思う。自分のやりたい世界を完全に自分の責任でやってみる。そこから学べることは少なくないと思う。

 曲として個人的には「Quiet Afternoon」という曲が70年代スタンダードポップス的な優しい情緒感があって良かった。彼女の曲の歌詞を多く手がけている山里ありささんの歌詞も何気ない言葉遣いなんだけど相変わらず素晴らしい。あと、彼女のレパートリーの中でも屈指の名曲「マリー」のライヴ・ヴァージョンも入っている。本当に誰かカヴァーしないかなあ。

 この「アカシア」は彼女のライヴ会場、そしてこの作品をレコーディングしたスタジオレダ(ボズレコードの矢舟テツロー、川合辰弥もここで録音している)のHPの通販ページで購入できるとのこと。