川合辰弥 レコーディング

 レコード会社を名乗っているくせに、昨年はとうとう一枚もCDを出さなかった。これではいかん、ということで、うちのレーベルの矢舟テツロー、川合辰弥、ふたりのピアノマンの新曲を録り始めることした。

 で、今日は川合辰弥のリズム録りを吉祥寺のレダでやった。僕は都合で終わりの方しか立ち会えなかったが、ライヴやリハを重ねてバンドのまとまりが出てきたところなので、順調に進んだ。今回からはベースの小山さんにバンマスになって仕切ってもらっているのもよかった。
 スタジオに入ると、昔はアーティストやアレンジャーと同じ立ち位置で細かいところを追ってしまい、結果みんな一緒に迷路にはまってしまうことがよくあったが、最近はようやく、一歩引いたところから聴けるようになった。海水浴場のライフセイバー、みたいな。そっちの方向に泳ぎに行っちゃいけないぞー、こっちに戻って!!、そんなスタンスだ。

 帰り道はiPodでスティーリーダンの「Can't Buy A Thrill」を聴く。彼らがまだ緻密で隙のない音作りをする以前のものだ。彼ら的には未熟な頃の作品で不本意なものらしいが、僕はけっこう清々しくて好きだ。スティーリーダンを清々しいというのも何か変だが。ちょっとひねくれたことをやりながらも、内面のいたって真面目な情熱が滲み出てくるバンド・サウンドがいい。