雨の歌(2)〜「雨色の僕と君」有賀啓雄

vozrecords2008-04-18

 今日も雨ということなので、憂鬱な気分にならない雨の歌その2、有賀啓雄の「雨色の僕と君」。
 彼は日本を代表するベーシストで、渡辺美里藤井フミヤ小田和正槇原敬之など錚々たるアーティストのサポートメンバーをやっている。僕は仕事をさせてもらったことはないが、以前vividblazeが屋敷豪太さんのレコーディングに参加させてもらったときにスタジオにいらしたのおぼえている。
 さて、この曲は1988年リリースされたアルバム「SHERBET」に収録されていて、はじめて聴いたとき僕はレコード会社の営業マンだった。そのとき担当していた青森県弘前市の「JOYPOPS」という店の店長が、僕が好きそうだと教えてくれた。その店長(ヒロシさん)は、基本はロックオヤジだが、実はジャンル問わず音楽全般本当に詳しかった。地方の商店街にありながらマニアックな輸入盤レコードも取り揃えていて、僕も知らないアーティストをいろいろ教えてもらった。ローラ・アランなんていう、 70年代の可憐な女性シンガーソングライターもたしかヒロシさんに教えてもらったはずだ。もう長いこと会っていないが、昨年お店を閉めてしまったようだ。今まで僕が出会った中で、ベストのレコード屋だと思うし、今思うと音楽業界に入ってまだ日の浅い僕の勉強の場(仕事、遊び両面で)でもあったと思うのですごく残念だ。庶民的でオープンでいながらマニアックなこだわりがあり、そして時代の売れ線かどうか関係なく、気に入ったアーティストを応援する男気が絶妙にマッチされていた。都会にあるちょっとスノッブなセレクト・ショップ的なCD屋が、今もどうしても好きになれないのは、この店をかつて担当していたせいかもしれない。
 話を戻すが、このアルバムの魅力は、大瀧詠一ロングバケーション」に影響を大きく受けながらも、もっとナイーヴで、きめの細かいきらめきをちりばめたようなサウンドだ。これをアレンジした当時23歳ということだから、すごいなあ、と思う。この「SHERBET」は他も雨の歌が多く、ジャケットも傘をさした、ちょっと童話のようなイラストレーション、まさに雨CD。残念ながらアルバムは廃盤だが、「雨色の僕と君」は彼のベスト盤で今も聴くことが出来る。