ピアノ・マン〜ジェラード・ケニー

vozrecords2008-04-13

 金曜日に音楽ライターの金澤寿和さんに約10年ぶりにお会いしていろいろ話をさせてもらった。金澤さんと言えば、AOR系では右に出るものなし、という方で、この日も僕が昨年末からメールをやりとりしているフランク・ウェーバーについての話が中心だったが、その他いろいろAORファンとしていろいろ聴かせてもらった。
 金澤さんはここ何年もAOR系のかくれた名盤の再発を洋楽、邦楽問わず積極的に監修されていて、僕の知らなくて、聴いてみておおおっという作品(例えば1982年の「東北新幹線」というデュオのアルバム)もあったりするのだが、僕が一番うれしかったのが、昨年11月にBMGから出たピアノマン・コレションだ。さっき触れたフランク・ウェーバーのファースト(何度も言うけど本当にいいアルバム)、ランディ・エデルマン、デヴィッド・ポメランツ、ジェラード・ケニーというラインナップ。特にジェラード・ケニーはまさかCD化されるとは、という感じだった。
 唐突だが、僕が洋楽を本格的に聴き始めた頃、抗いがたく好きだったひとりがバリー・マニロウだ。当時の風潮として、彼は保守的でショウビジネス的、ロック・ファンからは目の敵にされていた。中学生の僕はクラスの誰とも彼の話を分かち合えず、黙ってひとり部屋で聴いていたものだ。さて、彼と言えばやっぱり「コパカバーナ」。ソフトバンクが携帯を始めたときTVCFでも使われていたし、先日高校野球を何気なく見ていたら、どこかの高校の応援ブラスバンドがこの曲を演奏していた。でも、この曲は「大きなナイトクラブのショウ・ガールの恋と悲劇的結末」といった内容の水商売色のとても強い曲なので、高校野球の応援にはどうなんだろう、とも思ったが、まあ僕の考え過ぎなんだろう。
 話がそれたが、僕がバリーマニロウを好きだったのが、彼がシングルにしてくるバラードのメロディーがどれも素晴らしかったからで、後に彼やレーベル社長のクライヴ・デイヴィスが曲探しを真剣にやっていたおかげだったことがわかった、そして、彼が曲をピックアップしたおかげで、そのソングライターも衆目されたりレコードを作る機会を得ることが出来たりししたわけで、僕も音楽出版社に勤めていたことがあって今もソングライターのバックアップをしているので、そういうのは素晴らしいことだなあ、と思う。
 さてジェラード・ケニーは、彼の「 Made It Through The Rain(悲しみをこえて)」をバリーマニロウが歌って全米10位のヒットとなった。ジェラードのアルバムに入っているのをバリーが聴いて気に入ったらしいが、そのアルバムが今回再発された「メイド・イット・スルー・ザ・レイン」。イギリスで活動している人だが、生粋のニューヨーカーでビリー・ジョエルとバンドを組んでいたこともあるらしい。フランク・ウェーバー同様、70年代のビリー・ジョエルが好きな人は一度聴いてほしい作品だ。