You Must Believe In Spring

vozrecords2008-04-03

 春の歌を思い浮かべるとき、いつも心にひっかかってくるのは「You Must Believe In Spring」という曲だ。ジャズ・ピアニスト、ビル・エヴァンスのアルバムタイトル曲としても有名な、美しい曲で、原曲はカトリーヌ・ドヌーヴが出てたフランス映画「ロシュフォールの恋人たち」(このサントラ盤はかつて"渋谷系"の定盤だったなあ。)の「Chanson de Maxence」。作曲はミッシェル・ルグラン。長い間、この原曲とルグラン本人の演奏、それとビル・エヴァンスの演奏しか知らなかったので、この曲の英詞を知らなかったんだけど、英題の「You Must Believe In Spring」というのが、なんだか凄く意味深そうで気になってしまって、iTunesで検索したところ、ものすごい数のカヴァーヴァージョンが存在していた。その中で日本の女性ジャズヴォーカリストで僕が最も好きな伊藤君子さんのヴァージョンがあったので購入し、ネットで歌詞を探した。
 内容はおおざっぱに言うと、辛いことがあっても春が来ることを信じなさい、と、いつもながら僕の意訳はムード台無しなんだけれど、実際の歌詞はとても詩的で、文字だけ目で追っていても余韻を感じる素晴らしいものだ。「You Must Believe In Spring」はまさにその通りの意味で、特に意味深な、ことはなかったけれど、歌詞に使う1文字1文字が吟味されていて、なおかつメロディーが完璧にマッチしている。歌詞はアラン&マリリン・バーグマン。ルグランの英詞をよく手がけていて、名曲「風のささやき」(Windmills of My Mind)も彼らが手がけている。原曲の入ったアルバムは名盤、インストとしても歴史的な名演があり、その上見事な英詞まである。多くのミュージシャンがカヴァーしたくならないわけがない。