エイプリル・フール

vozrecords2008-04-01

 4月1日といっても、以前はとりたてて意識することはなくて、強いて言えば”マーヴィン・ゲイが亡くなったのがこの日だったなあ。(ちなみにこの人は4月2日に生まれている)”と思うくらいだったが、去年の4月1日にはじめての子ども(娘)が生まれたことで、個人的にすっかり特別な日になった。そして、今日からは娘を保育園に送り届けてから仕事をはじめるという毎日が始まった。
 さて、4月1日と言えば"エイプリル・フール”。バート・バカラックに「The April Fools」という曲があって、数あるバカラックの名曲の中でも個人的にベスト3に入れたいほど好きな曲だ。何年か前から、この曲を4月1日に聴くというのが定例となってしまっている。とは言ってもこの曲は「4月1日につくウソ」についての歌ではない。いろいろあったあげくよりを戻した二人が、やっと本当の愛に気づいたといったオーソドックスなラヴ・ソングで、そんな自分たちのことを「周りに潜む危険に気づかない、ただのApril Foolsかもしれないけど、構わない」と言う歌詞があって、このApril Foolsは、4月の(幸せで浮かれている)おバカさんたち、くらいの意味かなあ、と思っていたんだけど、April Foolsには「エイプリル・フールの日にかつがれる人たち」という意味もあるらしく、単に幸せボケ状態なわけじゃなくて、この幸せがウソでもいい、みたいなちょっと不安もありながら、心を決めているような状態、といった感じが妥当な解釈だろうか。
 この曲はジャック・レモンカトリーヌ・ドヌーヴが主演している1969年のロマンティック・コメディ「The April Fools(邦題:幸せはパリで)」の主題歌だ。このサントラ盤は何年か前に再発された。また、映画に使われたのに契約上の問題でサントラに収録されなかった、ディオンヌ・ワーウィックの歌うヴァージョンは彼女の初期の作品集に割合よく収録されている。また、バカラック本人のヴァージョンもA&M時代のソロや編集盤に入っている。サントラに入っているパーシー・フェイス・ヴァージョン(これが一番好きだ)とマーヴィン・ハムリッシュ・ヴァージョンと合わせて、4ヴァージョンどれもいい。バカラックに興味を持っていて、この曲を知らない人がいたら是非推薦したい。