雨の日と月曜日は

vozrecords2007-07-23

 梅雨が続いている。おまけに今日は月曜だ。そうすると、世界中の中高年のポップスファン同様(?)、僕もカーペンターズの「Rainy Days And Mondays」のメロディーが自然と浮かんでくる。実はそんなことが今までに何度もあるのだけど、そこでわざわざ曲を聴き直すなんてことはしなかった。もっと、テンションが下がりそうだし。でも今日はたまには聴いてみようかという気になってきた。でもカーペンターズのヴァージョンはいかにもだし、ということで、この曲を作詞したポール・ウィリアムスのヴァージョンを久しぶりに聴いてみる。しまったことに、オリジナルよりもっと暗い。他のを探す。フリーダ・ペイン。70年代前半、ポスト・ダイアナ・ロスと呼ばれた可憐なソウル・シンガーだ。いいんだけど、少しまったりしている。また探す。スミス・コネクション。やはり70年代前半の男性3人組のスウィート・コーラス・グループだ。このアルバムは、20年くらい前にR&Bのレコードを集めていたころ、中古レコード店の壁に燦然と輝いていた高価な人気盤だった。その後、アシッド・ジャズなんかのクラブ・ミュージックの影響で、R&Bの中古LPの価格相場が激変してしまったが、当時はスウィート・コーラス・グループものがなんといっても人気で、このスミス・コネクションなんかは、少年切手蒐集家にとっての「月に雁」か「見返り美人」にあたる(?)ものだった(ものすごい古いたとえですみません)。でも、今の日本ではフリーダ・ペイン同様、普通にCDとして買えるからスゴいことだ。
 話が脱線してしまったが、カーペンターズのオリジナルが1972年、スミスコネクションがやはり72年でフリーダ・ペインが73年。良い曲が大ヒットしたら、すかさずカヴァーする、というのはすごくいいなあと思う。当然、マイナーなアーティストにとって旬なヒット曲をカヴァーするというのは当時重要な戦略でもあったはずだけど。けっこう今の日本だと、正直楽曲をめぐる利権なんかもからんできて、そういうことはスムーズに運ばない傾向がある。でも、ミスチルでも宇多田でも平井堅でも、逆にすごく無名のアーティストでもいいんだけど、すごくいい曲だと思ったらすかさずカヴァーするのもいいのにと思う。古いスタンダードや隠れた名曲をやるのは確かにかっこいいし、新しい曲をやるのはそれなりに勇気がいることかもしれない。でも同じ時代を呼吸しているミュージシャン同士、もっと"曲の連携"をはかるのは決して間違ったことではないと思う。
 そういえば、内輪になってしまうが、僕のレーベルの川合辰弥がライヴでしょっちゅう森大輔のカヴァーをやっている。まだまだささやかな動きかもしれないが、すごくいいことだと思っている。