矢舟テツロー、レトロ・ジャズ?

 昨日は矢舟テツロー主催ライヴ「BOP CITY」を見に渋谷公園通りクラシックスへ。このイベントは矢舟本人が気になるアーティストを招いて行っているのだが、最近はそのセレクト具合が絶妙になってきている。前回出演したトリオ・ロス・ミッシェル・ギンガも巷にどんどんあふれるボサノヴァ・バンドの中では異色の”フレンチ”ボサノヴァが新鮮だったし、今回のGYPSY VAGABONDZ黒船レディーと銀星楽団はそれぞれ異なったアプローチだが「懐かしいジャズ」を演奏だけじゃなく、ヴィジュアル的にも演出してお客さんを楽しませるバンドだ。矢舟もふくめオールド・ジャズ、もしくはレトロ・ジャズという共通キーワードが感じられて、僕が見た中で最もまとまったというか、明快な特殊性を打ち出せた回になったと思う。
 ボブ・ディラン語録の「自由に生きる言葉」を最近よく本屋で見かけて、そのたびについついペラペラめくるんだけど(いつも立ち読みだけど)「流行っているものは聴くな」みたいな言葉があって、うーんとしばらく考えこんでから「でも職業柄そうはいかないんだよなあ」と思うんだけど、演奏する側はきっと古今東西の音楽の中で自分が一番フィットするものがあったら、もうそこに焦点をしぼってやるほうが面白いものができるのかもしれない、とも思った。