ピアノマン〜ビリー・ジョエル

 僕がこのブログをやっている「はてな」のキーワードではピアノマンというと、おととしイギリスの海岸で見つかった「謎のピアノマン」が真っ先にでてくることにちょっとびっくりしたが、ピアノマンといえば、自分で歌っていることからしてもやっぱりビリー・ジョエルだろう。僕も初めて買ったアルバムが「ストレンジャー」(14才だった)で、次の「ニューヨーク52番街」とともに中学時代一番くり返して聴いたアーティストだった。そして年とともに小生意気にもちょっとマニアックなものを聴くようになって、そんなに熱心なリスナーじゃなくなってしまったのだが、レコード会社の洋楽部で働いていたとき、NYのマディソンスクエアガーデンでの彼のライヴに、取材関係者を連れて行くという仕事をしたことがあった。「リヴァー・オブ・ドリームス」というアルバムの発売時だから、1993年だったと思う。関係者の中に漫画家の玖保キリコさん(「いまどきのこども」。なつかしい、、。)もいて、後日「ビッグコミック・スピリッツ」にライヴ報告を書いてもらった。(ページの脇に小さく僕の姿もマンガにしてあってなんだかすごくうれしかったことを覚えている。)
 そのときのライヴで今でもはっきり思い出すのは、彼が弾き語りで「ピアノマン」を歌ったときで、観客が最初から最後まで大合唱になったのだ。他の曲ではそんなことはなかったので、やっぱり考えている以上にこの曲は特別なんだろうと思った。彼は世界的なアーティストでもあるが、NYのローカル・ヒーローでもあることを実感した。(「ピアノマン」の曲の舞台がLAだとか言う裏話も関係ないのだろう。)
 そのときも彼は本当にエネルギッシュに動き回り、エンターテイナーぶりを存分に発揮していたのだが、考えてみるとこの長いポップミュージックの歴史の中で長期にわたって君臨してるピアノマンは彼とエルトン・ジョンくらいしかいなくて、二人に共通している歩みみたいなものがあるように思う。まずは優れたピアニスト/シンガー・ソングライターで出発し、ヴォーカリストとしても力量をあげていき、そしてパフォーマー/エンターテイナーとしても腕を上げていく。ピアノ最高、曲最高、ヴォーカル最高、それに加えてたくさんの人を楽しませる(ルックスだけは免除されるようだが)。ピアノマンで大成功するとはなんて大変なことなのかと思う。でも、これからは多様化の時代、スーパースターじゃなくても、聴く人の好みに合ったいろんなピアノマンの音楽をを楽しめるようになるんじゃないかと思っているのだが。