福場庸介「作品集」”1st Anthology”

vozrecords2007-06-09

 ボスレコードからリリースしているariの「雨上がり」という曲でギターを弾いてもらっている福場庸介さん。
 実はもう何年も会ってないんだけど、たまたま同じところに髪を切りに行っているので(下北沢の「パラッツォ」)、お店の方からなんとなく近況と言うか、元気そうなニュアンスだけはいつも聞いていた。そこへ最近久しぶりに連絡があって、CDを作ったということでさっそく聞かせてもらった。もう3年以上も前に彼のデモを聴かせてもらってその中の「異国の花」という曲がすごく良かったと伝えたことがあったんだけど、こうしてその「異国の花」を含む作品集をじっくり作っていたとは、少しびっくりした。
 今回の「作品集」は、彼がさまざまな人の協力を得ながらも、制作から営業(しかもうちのレーベルと同じ、ダイキサウンドという流通業者でやっている)までひとりでやり遂げた(その辺は彼のブログで随時報告されているので興味のある方は是非チェックを)、まったく純粋な「自主制作盤」で、わけのわからないインディーレーベルが次々と濫立するこの時代(あっ、なんか胸が痛い、、)、「自主制作」の本来あるべき形を見せられた気がしたし、アーティストが独自でやろうと思えばここまでできる今、レーベルの存在意義ってなんだ?なんて根源的なことも真面目に考えさせられた。
 で、肝心な中身なんだけど、彼の淡々と朴訥(ぼくとつ)としたパーソナリティーがにじみ出た、そこにさりげなくメロウで叙情的なメロディーとサウンドがマッチした、いやなかなか優れたポップス集だ。ラテンテイストのサウンドに映画のように情景描写した歌詞がマッチした前述の「異国の花」と初期のキリンジを思い起こさせるメロディーの「君と僕の星座」が特に良かった。