フォノジェニコ、バラードとは?

 昨日は渋谷の7th Floorフォノジェニコのライヴを見に行った。フォノジェニコ高山奈帆子さん(Vo/作詞)と川口潤君(Piano/作曲)のデュオで、彼らのサポートドラマーを北航平君(元ハムニカフン、今は川合辰弥のサポートもやってもらっている)がやってることもあって、デビュー前から少し交流があった。初めて彼らのライヴを見たのは、もう3年くらい前だと思うんだけど、吉祥寺のスターパインズカフェでariの対バンで出演していた。
 そのとき、僕は(不真面目にも)ステージが見えない場所で、なにかうだうだしてたんだけど、突然きれいなバラードが聴こえてきて、あわててどんな人たちが歌っているのか見に行ったのを覚えている。それが、「オレンジの砂」という曲で昨日もライヴでやっていた。ただ、この曲は(未だに)CDになっていいなくて、当時無理言って川口君からデモヴァージョンをもらって、それをよく繰り返し聴いたものだ。
 で、久しぶりにライヴを見たのだけれど、さすがにメジャーでデビューしていろいろ場数をふんだことを感じさせる、成長ぶりがうかがえでうれしく思った。
 彼らの魅力はやっぱりバラードで、今度リリースする「ねがいごと」も、デビュー前から演奏していたんだけど、とてもいい曲だ。
 ちょうどその前にいろんな新譜をネットやCDショップで試聴していて、相変わらずバラードが多いけど(特にR&B系、女性)、なにかグッとこないなあ、と思っていた。これは、バラードのメロディーのパターンはそんなにバリエーションがあるわけじゃないから、みんな似たり寄ったりに聴こえるからだと思っていた。でも、彼らの「オレンジの砂」や「ねがいごと」は、歌詞でちゃんとパーソナルな心情や情景を描いていて、それとメロディーが調和して、とても説得力がある。何かの曲に似ているとかは全然思わなかった。
 僕は、もともとやんちゃな年頃から、バラードを好んで聴いていたような人間で、歌詞よりも圧倒的にメロディーを重視する傾向があるんだけれど、こう考えてみると、これから生み出されるバラードは、"何を""どのように"歌詞で描いているかが、より重視されるのじゃないかと思うようになった。”何を”といっても、やっぱりラヴソングだから、突飛なことはできないと思うけど。テクニックよりも正直さ、というか。普遍的なことを書くのでなくて、パーソナルなことを掘り下げていくことで、結果、多くの人に共感を得るものになる、というか。
 あと、個人的には、心情だけでなく、映像的に情景をきちんと描いている歌詞が昔から好みかもしれない。