オズの魔法使い

 昨日TVで「オズの魔法使い」をやっていた。
もう70年近く前に作られた映画なのだが、細かいところまで徹底して手間とお金を惜しみなく注ぎ込まれていて、やっぱり当時のアメリカの映画産業はスケールがすごいなあ、と思った。そして、耳に残るのはやっぱり主題曲「OVER THE RAINBOW(虹の彼方に)」。シンプルなのに、なんというメロディなんだろう。小学生の頃、音楽室のオルガンで懸命に「耳コピ」したのを思い出す。そういえば、小学校の頃、日本のテレビ版「オズの魔法使い」があって、よく見ていた。シェリーという日本語が堪能な(日本生まれだったかもしれない?)外国人タレントがドロシーをやっていた。ちょっと気になったので検索してみると、番組の監修を寺山修司がやっていたという。そういえば、童話なのに、子供心になんともいえないせつない後味が残った記憶がある。もう一回見て、どんなだったか確認してみたくなった。
 それから、古い洋楽ファンとしては、「あっそうだそうだ」というのが多くて、まずはドロシーの飼っている犬が「TOTO」。ジェフ・ポーカロがこの映画を見て、自分のバンドのデモテープにとりあえずこの名前を書き込んだのがそのままバンド名になったらしい。それから、ドロシーの赤い靴に魔女が触れようとして火花が散る場面は、E.L.Oの「エルドラド」のジェケットに使われていた。そして、オズの魔法使いの住む「エメラルドシティ」に続く道は「イエロー・ブリック・ロード」。エルトン・ジョンの名曲「グッバイ・イエロー・ブリック・ロード」のモチーフになっている。映画は、何でも願いが叶うという「エメラルドシティ」には実は失望させる現実があって、やっぱり自分の生まれた家が一番だと気づくというものだけど、この歌では「エメラルドシティ」は都会、そして音楽産業、そこに失望した若者がやっぱり自分の夢は故郷にあるんだ、というもので、若い頃のエルトン(正確には作詞のバニートーピン)の苦い経験を反映させたものらしい。歌詞がわからなくても、すごい名曲なんだけど、そういう歌詞だということを考えると、また違った感慨がある。