ビリー・ジョエル、小さくはじめること

 何日か前の朝、なにげなくテレビをつけたらビリージョエルがインタビューに答えていたのでついつい見てしまった。NHKの「英語でしゃべらナイト」の再放送だったと思う。(”ナイト”を朝やってるわけだから当然再放送か、、)
 そこで、「(NYで)成功しようと思っている日本のミュージシャンに何かアドバイスを」と言われてまず、“START SMALL”(小さくはじめること)と答えたのが不思議に頭に残った。それに続けて、いきなり大きい反響を得ようと思ったり、ヒットレコードをどうしたら作れるか思い悩むことはない。自分の音楽にあった環境でただ良いプレイをすればよい。もし、ほんとうに良ければ成功はついてくる、というようなことを言っていたと思う。小さなラウンジから演奏活動はじめた彼が言うことだから、いたって当然で、まああたり前のことを言ってるよな、と普通なら聞き流しそうなことだったのだけど。

 僕ももう気づくと、かれこれ20年音楽の業界で働いていることになるけど、ここ数年の音楽をとりまくめまぐるしい状況の変化(当然ポジティヴじゃない要因のほうが圧倒的に多い)に途方に暮れてしまうことがホントに多い。これは音楽を志す若いミュージシャンならもっとそうなんだろうと思う。正直モチベーションを維持するのがむずかしい。同じインタビューで彼は”Just work in your place where you belong"という表現もしていた。これはミュージシャンだけじゃなく、どんな職種の人にもあてはまることなのだろう。まずは小さくても自分が置かれた立場でいいパフォーマンスを心がけるしかない、ということか。
 とは言っても、またどっと押し寄せてくる、いろいろな情報に気持ちをかき乱されて、いつの間にか途方に暮れてしまうのが普通なのかもしれない。だけどそこで、またシンプルなところに立ち返る、「小さくはじめる」ことができるかが、きっとポイントなんだろう。